第89章 *暗闇アストレイ*
セベク『..ふんっ!ようやく理解したようだな。それで..お前はどうしたい』
シルバー『俺は..俺は幼い頃から、親父殿とマレウス様を守る騎士になるのが夢だった。その夢を叶えたい。悪い夢を終わらせて..お二人の笑顔を取り戻す!俺はもう二度と迷わないぞ。どうか覚えておいてほしい、セベク』
セベク『その言葉..違えるなよ!』
いつかの日に交わした言葉を今度は逆の立場で交わし合う。すっかり晴れた顔つきで座り込むセベクに手を差し出し、セベクもその手を強く掴み立ち上がった
ユウ『一時はどうなるかと思ったけど、先輩が元に戻ってよかった』
グリム『ほんと、世話が焼けるやつなんだゾ』
シルバー『ユウもグリムもすまなかった。ここまで探しに来てくれて、ありがとう』
ユウ『いいですよ、礼は後で貰うんで。それよりも、早くレイラを探しましょう』
セベク『そうだな。ここに来るまでには見つけられなかった。シルバーと共に落ちたのだからてっきり一緒にいるかと思ったが..』
シルバー『レイラ..?』
セベク『シルバー、貴様は見ていないか?まったく..弱いくせに離れおって』
シルバー『レイラ...あ、あああ..っ!!』
セベク『どうしたシルバー!?』
シルバー『っ!!』
グリム『おい!どこに行くんだゾ!?』
焦った様子で振り返り、先程まで自分が沈んでいた一際大きな闇の塊を目で探す。そして少し離れた先に蠢く塊を見つけると、感じたこともないほどの悪寒と恐怖が顔を引きつらせ、必死の形相でその塊へと走っていく
突然走り出したシルバーに残された3人も慌てて後を追いかける
シルバー『レイラ、レイラっ!!』
セベク『待てシルバー!!またその闇に飛び込もうとするなど..何をしようとしている!?』
片足を踏み入れ、そのまま沈んでいこうとするシルバーの腕を掴んで引き止める
見たこともないほど焦りに満ちたその顔に、セベクは驚きを隠せない
シルバー『離せ、セベク!!早くこの闇の中に行かないと!』
セベク『落ち着け馬鹿者!!何故闇の中に行こうとする?そこに何がある?』
シルバー『レイラが..レイラがこの中にいるんだ!!』