第89章 *暗闇アストレイ*
『『!!!』』
シルバー『違います、俺は..はっ!?
この姿は?何で...』
『!!シルバーさんが..あの人になってる..?』
急に感じた体の重みに自分の体を見下ろす。身につけた覚えのない銀の鎧が、動く度に金属音を鳴らす
肩甲骨辺りまで伸びた、昼の妖精の祝福の証である金の髪が靡き、いつの間にか自分の姿が夜明けの騎士になっていることに気づく
リリア『よくもマレノアとレヴァーンを!お前だけは、俺がこの手で..!』
シルバー『親父殿、俺は..っ!』
リリア『お前に親父などと呼ばれる筋合いはない。人間!!』
そう言うやいなや、手にした魔石器を振りかぶりシルバー目掛けて飛びかかる
慌てて避けるも、リリアの攻撃は速度を上げて猛攻となり、シルバーを討ち取るため襲いかかる
シルバー『っ!!』
『ゃ、やめて!!リィさん、その人はあの銀の人じゃないの!シルバーさんなの!!』
必死に叫ぶが、リリアはレイラに見向きもせず、ひたすら攻めの手をやめない
『..もしかして、私のことが見えて、ない?どうしよう..なんとかして止めないと!』
そしている間にも、リリアに圧され体制を崩すシルバーが、必死の抵抗で腰に差した銀の剣を引き抜いた
『あのままじゃ、どっちも傷ついちゃう..お願い、これで止まって!』
とにかくリリアの動きを止めようと、ペンを振って闇の手を下から呼び出すが、
『手が、すり抜けた?..え、でもシルバーさんには触れてる。どういうこと..?』
自分や自分の魔法だけが、まるでいないようにすり抜ける。どういうことか訳が分からないまま、助けることも止めることも出来ないという己の非力さにその場で膝をついて座り込んだ
『やめて。お願い、やめて..っ。二人が戦うなんて、傷つけ合うなんて..見たく、ない』
リリア『くっ..さすがは銀の梟一と謳われるだけあるな。だが、まだまだ!』
シルバー『やめてください!俺は.. あなたと戦いたくない!
もう、二度とあなたの前には姿を現しませんから..!』