第89章 *暗闇アストレイ*
もう一人になりたい。誰とも会いたくない。このまま闇の奥まで堕ちていきたい。重く淀んだ想いを抱えシルバーは更に奥へと進む
レイラはそんなシルバーの後ろを一定の距離を保ちながらつかず離れず着いていく
何かあればすぐ駆け寄れるように。彼の心が完全に一人にならないように
リリア『シルバー!どこじゃ、シルバー!』
『リィさんの声..また、思い出?』
暗闇にリリアの声が響く。微かに雨の音も聞こえ、その中を必死にシルバーを探しているようだった
リリア『こんな雨の夜に家を飛び出すとは。あやつ、そんなにショックだったのか?わしと血が繋がっていないことが..』
『(血が繋がってない..私も、そうだけど..あんまり気にならなかった、かも。でもシルバーさんは違うんだよね。血の繋がった本当の親子だって思ってたはず..)』
リリア『もうとっくに気づいているものだとばかり..いや、違うな。うやむやにしていたのはわしじゃ。真実を伝えて、シルバーが悲しむ顔を見る勇気がなかっただけ..か。
いつの間に、わしはこんなに..
とにかく、一刻も早くあやつを見つけ出さなくては。シルバー!返事をしろ、シルバー!』
シルバー『血が繋がっていなくても、俺はずっとあなたの息子だと思って生きてきました。でも..もう、あなたの息子だなんて名乗れない。心から愛せるわけがない。銀の梟の..夜明けの騎士の子供だなんて!
愛せるわけが、ないんだ..』
『違う..リィさんは、シルバーさんのことを本当に愛してるよ。大事な、大事な子供だって、思ってるよ』
シルバー『...俺は、もうあの人といられない。一緒にいてはいけないんだ』
『...(もう私の声も聞こえなくなっちゃったのかな。なんで私って、こんなに何もできないんだろ)』