第89章 *暗闇アストレイ*
リリア『赤ん坊?しかも人間ではないか!どうしてこんなところに』
?『ふぇっ..ふぎゃぁあん!ぎゃぁああん!』
シルバーたちも遅れて追いつき遠目から中を覗くと、そこにはいっぱい涙を抱えたオーロラ色の瞳、輝く金の髪の赤ん坊
首にかけたネックレスにはあのオーロラの宝石を施した指輪を通されていた
『!!あれって..』
リリア『この指輪は..』
シルバー『まさか、この赤ん坊は..俺、か?』
『でも髪が..』
シルバー『ああ..しかし、この瞳の色は、やっぱり..』
リリア『陽の光のような金の髪、そしてこの指輪..お主..まさか、夜明けの騎士の?』
赤ん坊『あーーん!あぁーーん!!』
リリア『いや、ありえん。この城がヘンリクの手に渡ってすぐに、資源や土地の所有権を巡り再び争いが起きた。夜明けの騎士や妻レイアも、確かその混乱の中で..』
この生まれて間もない赤ん坊が、両親である夜明けの騎士たちの死後何百年も後にこうしていることはありえない
この矛盾した状況にリリアは暫し考えると、赤ん坊を乗せる揺り籠に手を掛け優しく撫でる
リリア『..揺り籠よ。ちとお主の記憶を見せてくれるか。
"全ては過ぎ去る日のように。どこへ向かうも瞬きの間よ"
遠くの揺り籠まで(ファークライ・クレイドル)』
静かな詠唱の後、セピア色の野ばら城へと景色が変わる。覆い尽くすような茨のツタはなく輝いていたが、窓の外からは争いの声が響き渡っていた
『これって、リィさんのユニーク魔法..?』
シルバー『ああ。"モノ"に刻まれた記憶を少しだけ再生できると言っていたような..』