第88章 *緊急リターニング*

リリア『笑ってる場合じゃねーんだよ！分かってんのか？もうお前はやんちゃなお転婆娘じゃない。確かにお前は強い。この国の誰よりもな。だが、万が一ってことがあるだろう。
父親..レヴァーンもいない今、お前に何かあったら、この子はどうなる？』







マレノア『母親だからこそ、征くのだ』








『『『...！！』』』


マレノア『私が決闘に応じれば、人間どもの注意は私に集中する。その隙をついて、お前たちは卵と共に脱出しろ』


リリア『何言ってやがる！戦うのは俺たち近衛兵の仕事だ！』


バウル『右大将殿の仰る通りです！姫をお守りできず、何が近衛兵か！』


マレノア『どこもかしこも傷だらけ。そのみすぼらしく弱った体で、このわたくしを守る？笑わせるな。

足手まといは下がっていろ、と言っているのだ。足元をうろちょろされては、うっかりお前たちごと焼き払ってしまいそうだからな。





ほら、分かったなら受け取れ、リリア』





そう言うとあろうことか、マレノアは大事に抱えていたマレウスの眠る卵をリリアへと放り投げた


リリア『え？うわっ！』


『！！た、卵..！』


不意をつかれたもののなんとかギリギリのところで受け取り、傷がないかをすぐさま確認する


無傷なことに安堵すると共に、マレノアの突拍子もない行動に訳が分からないと言わんばかりに声を裏返す勢いで問い詰める


リリア『なんて乱暴なことしやがる。卵が割れたらどうすんだ！』


マレノア『リリア、バウル。お前たちに勅命を下す。野ばら城を脱出し、卵を黒鱗城へと届けよ。逆らうことは許さぬ。さあ行け！』


リリア『そんな命令聞けるわけねえだろ！！俺が残る！だからマレノアは..』







マレノア『しつこいぞ！！』





引く姿勢を見せないリリアに痺れを切らし、マレノアの怒りの雷が降り注ぐ


『きゃっ！！』


リリア『うわぁ！！？』


バウル『右大将殿！！』