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【ツイステ】黒兎は駆け巡る

第88章 *緊急リターニング*





怒りのまま雷を降らせるマレノアだったが、ふと隣の豪華な台座に目を向けると、先程までの怒りのオーラが嘘だったようにパッと消えた


マレノア『ああ..音がうるさかったか?よしよし、いい子だ』


『『あっ..!』』


ユウ『あれって..』


『たま、ご..』


苛烈な怒りを全く感じさせない慈愛に満ちた笑みと声で台座に手を伸ばすと、闇色の大きな卵を持ち上げ大事に抱きしめる


マレノア『折角ともに昼寝をしようとしていたのに、役立たずどものせいで台無しだ。




なぁ、マレウス?』





リリア『..マレウス?』


『(名前、もう決まってたんだ..お姫様、すごく優しい顔して大事に持ってる)』


マレノア『王子の名前だ。茨の国の王にふさわしい響きだろう?』


リリア『確かに良い響きですが..王子とは?まだお世継ぎは雌雄の判別もついていませんよね?』


マレノア『この卵の中で育っているのは絶対に王子だ。母である私には分かる。レヴァーンによく似た、美しい雄が生まれるに違いない』


そう言って愛おしそうに抱きしめた卵を撫でるその様は、強大な妖精王ではなく一人の"母"を彷彿とさせる


セベク『し、信じられない..僕は今、若様の命名の瞬間に立ち会っている..?』





マレノア『ん?誰だ、その小童どもは。

丸い耳..人間か?』






近衛兵たちの中に佇むユウたちに気づき、マレノアの鋭い視線がまるで針を刺すように注がれる。殺気立った瞳に全員の背にゾワッと悪寒が走る


グリム『ひぇっ..に、睨まれただけで尻尾がぷるっとしたんだゾ』


ユウ『レイラ、こっちに隠れて』


『ぁぅ..』


身の危険を感じ取り急いで背に隠すと、震える手が自分の背中を服の上から掴まれるのを感じた


怒りの矛先がこちらに向いたことに危惧したリリアが慌てて弁明を図ろうと前に進み出る


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