第87章 *懐刀インパクト*
ユウ『やめてください』
『リィさんダメだよ。ユウをいじめちゃダメ』
めっと叱るように言うと、リリアは可笑しそうに笑いながら、"ガキ扱いすんなよ"と最近癖になったのかレイラの頭を軽くぽんと叩いた
バウル『(右大将殿、またあの女の所へ..やはり..)』
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シルバー『前方に魔獣の姿が見えます。その場に留まっているようだが..一体何を?』
リリア『あいつらの縄張りかもな。どのみち俺らの通り道だ。どいてもらうとしよう。てなわけでレイラ、出番だ』
『ぇ、また?』
リリア『街での戦闘をもう忘れたのかよ。これからは目的地まで、魔獣関係の戦いはお前に任せてやるよ』
『嬉しくない』
セベク『貴様っ!リリア様から直々に任命されるという大変名誉なことを、嬉しくないだと!?巫山戯ているのか!!』
『ぅ"ぅ〜〜っ!!うるさい』
リリア『おい、こいつの耳を潰すようなことをすんじゃねぇ。索敵として銀の梟ども見つけるために使うんだからな』
セベク『はっ!も、申し訳ありません』
バッと頭を深々下げるも、その瞳には嫉妬とも恨みとも呼べるような色がギラついていた
リリア『てことだからさっさと片付けて来い』
『..何かあったら助けてね』
リリア『俺が手を貸す必要ねぇだろ。まあ、出来なかったらお前を囮に先へ進むけどな』
『むぅ..いじわる』
シルバー『レイラなら大丈夫だ。それに、もし危なくなっても俺がすぐに助けに行く』
『..んふふ、ありがと』
『おすわり』
ギャッ、ギャワァァァ!!
雄叫びのような悲鳴が静かな森に響き渡る。こてんぱんにされた魔獣は、レイラの足元で許しを請うようにひれ伏す
恐怖に震える魔獣たちを撫でて街の時と同様逃してやると、一目散に尻尾を巻いて奥へと走り去っていった
『バイバイ..』
リリア『ほら、瞬殺できたじゃねぇか』
シルバー『逃げていったな。俺たちが立ち去ったら戻ってくるだろうか』
『ここが魔獣さんたちのお家なら、そうかも。
..ねぇ、あれって』
足を止めたレイラが指差す先を辿ると、魔獣たちが逃げ去っていった先に深緑色の塊が陽の光に鈍く光っていた