第87章 *懐刀インパクト*
街での小休憩を挟んだ後、一団は街を離れ川沿いの道を歩いていた。すると、川で服を洗濯している鉄の者たちを見つけた
バウル『あいつら、また川の水を汚しているのか。許せん、今すぐに追い払ってやる』
リリア『ああ。もう二度と川に近寄る気にならないように、ちょっと脅かしてやるとしよう』
『よし、行ってくる』
リリア『レイラ、テメーはユウと一緒に残ってろ』
『なんで?』
リリア『街での魔獣退治で慣れねぇ魔法使って消耗してんだろ。敵の人数は少ねぇから俺達でサッと片付けて来る』
『ん..分かった』
少し不服そうに頷くと、"いい子だ"とポンッと頭に手を置かれ、呑気に洗濯を続ける鉄の者たちへと襲いかかっていった
『むぅ..』
ユウ『レイラも行きたかったの?』
『..ちゃんと出来るって、リィさんに見せたかった』
ユウ『レイラは昨日からずっと頑張ってる。リリア先輩だってきっと分かってくれてるはずだよ。今はここで、僕と一緒にお休みしようね』
『ん..』
鉄の者『ひ、ひぃ..このままじゃやられる..でも 洗濯物が..!』
鉄の者『そんなのどうでもいい!早く逃げろ!』
洗濯物を投げ捨て鉄の者たちは森の奥へと走り去っていく。だがその背をリリアは追うことはせずに、その姿が消えるまでずっと見つめいた
セベク『リリア様!奴らを捕らえなくて良かったのですか?』
リリア『ああ。川に近づくと危ないって噂を広めてもらう必要があるからな。これに懲りて少しは大人しくなってくれるといいんだがな..』
バウル『鉄の者たちに改心を期待するだけ無駄というもの。見つけたらまた懲らしめてやりましょう!』
リリア『そうだな..』
一息はくと、互いに話し始めたバウルとセベクを置いて、後方で待っていたレイラの元へと戻っていく
ユウ『お疲れ様です』
『おかえり』
リリア『ああ....はぁ、くっそあちぃな』
少し暑そうに仮面を外すと、長い黒と赤の髪をサッと手で払った
『あ、リィさん。髪にちっちゃい葉っぱついてる』