第87章 *懐刀インパクト*
!グルルル..
『こんにちは魔獣さん。お願いがあるんだけど、ここの食べ物は妖精さんたちの物だから、今すぐやめて街から出てほしい、な』
威嚇に唸る魔獣たちに優しく語りかけるが、その牙と爪は完全にレイラを狙いギラリと光る
『ね、お願い』
グルルル..ガァァアッ!!!!
大きな咆哮と共に魔獣たちが一斉に飛びかかる。近くにいた一匹を避けると、直ぐ様二匹目が飛びかかる
『わ、っとと..危な..わわわわっ!!』
二匹目も避けたその時、その影に隠れていた三匹目の振り上げた爪が顔のギリギリを掠めていった。体制を崩したレイラに、再び魔獣たちが牙を剝いて突っ込んでくる
ユウ『!レイラっ!!』
グリム『あのままだとあいつ、やられちまうんだゾ!』
シルバー『おや..ヴァンルージュ殿!加勢入らせてください!このままでは彼女が危ない!』
リリア『うるせぇ。黙って見てろ』
『わ、わ、わわわっ!!』
息もつかせぬ猛攻に足がもつれ、その場に尻餅をついた。その隙にと魔獣たちは大口を開けて突っ込んできた
『...ぁ..』
『『レイラっ!!』』
バクンっ!!!
ユウ『!!あれ..って』
セベク『な、なんだあれは!?..食虫植物?』
完全にやられたと思った一団の目に映ったのは、丸いフォルムに口先が幾重の棘のように鋭く尖った闇色の食虫植物(ハエトリソウ)だった
グパッと開いた口で魔獣を咥え込み、空高々に掲げた食虫植物の口の境目から片足だけがはみ出し、バタバタともがき暴れている
『ふぅ..危なかった。これ初めてやったけど、育つのちょっと遅い。もう少し力強く込めてから種を埋めないと』
ユウ『レイラっ、大丈夫!?』
『ん。まだ終わってないからユウは下がってて』
こちらへ走ってきそうなユウを手で制すると、ペンを振り食虫植物の頭を垂れさせると、口をコンコンと叩く
すると口をぱかっと開き、中から魔獣たちがドシャっと吐き出された