第87章 *懐刀インパクト*
街の妖精『あっ..王宮の近衛隊が来てくださったぞ!助かった。これでひと安心だ!』
バウル『助かった?おい、何が起きている』
街の妖精『えっ、助けに来てくれたんじゃないですか!?』
街の妖精『どこからか現れた魔獣が、食料を食い荒らしているのです!お願いです、追い払ってください!』
バウル『魔獣だと!?風鳴き渓谷から追いやられたのかもしれん。鉄の者どもめ、我らの土地に次々と厄介ごとを持ち込んできおって..断じて許せん!..ひとまず、魔獣を追い払わないとな』
住人たちの案内で連れてこられたのは、街の中でも山に近い場所にある食糧庫が並ぶ裏街道だった
バウル『!あれは..』
視線の先には熊ほどの魔獣が3体が食糧庫を破壊してムシャムシャと食い荒らしていた
バウル『すぐに追い出すぞ!総員かか、』
リリア『待て..おい、レイラ』
『..なに?』
リリア『あの魔獣どもの退治、お前がやれ』
『『『!!??』』』
バウル『右大将殿、何を言うのですか!?あのような非力な女に魔獣3体を相手しろなど..』
リリア『獣の相手は獣ってことだ』
ユウ『いやそれ理由にならないですって』
バウル『しかし..っ』
リリア『レイラ、出来るよな?何たって"あの黒兎サマ"がたった魔獣3体追い払えないなんて、そんなバカなこと言わねぇだろ?』
『...』
挑発めいた視線にレイラは少し眉をひそめるが、今もなお食われ続ける食料を、ハラハラしながら遠くで見つめる住人たちの顔にそっと目を閉じた
『ん。やる』
リリア『よし、行って来い。シルバーにも言ったが、俺たちと行動を共にするんなら少しは役に立てよ』
『..分かってる』
ユウ『レイラ、無茶しちゃだめだからね』
シルバー『危険だと思ったらすぐ俺たちを呼ぶんだ』
『大丈夫』
ペンを片手に構え振り返ることなく魔獣たちへと近づいていく