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【ツイステ】黒兎は駆け巡る

第87章 *懐刀インパクト*






『(ビクッ!!)ひっ..!』


突然響き渡った怒号に全員が肩を震わせ、レイラは這い上がってきた恐怖と耳をつんざく痛みに体を縮こませ、両手で耳を塞いで目を強く瞑った


何事かと見ると、食事を勧めたセベクに対して、人間が作ったものなど食えない、とバウルが拒絶していたのだ


リリア『うるっせぇ!飯食ってる時に横で大声出すな。お前の好きにすりゃいいが、腹が減ってぶっ倒れるような間抜けは晒すんじゃねぇぞ』


バウル『私は持参した携帯食がありますので、どうぞお気になさらず』


向こうからの認識がないとはいえ、尊敬する実の祖父にこっ酷く断られたのが効いたのか、どこかしょんぼりとした様子で戻ってきたセベクに、シルバーは小声で慰める


シルバー『セベク、これは夢だ。現実のバウル様はちゃんとお前のことを..』


セベク『そんなことは分かっている!貴様に言われるまでもない。
お祖父様は、様々な教養を僕に授けてくださった。幼い僕に本を買い与え、読書の楽しみを教えてくれたのもあの方だ。

"銀の梟"さえいなければ、若かりしお祖父様ともっと親睦を深められたかもしれないのに..』


『...』


祖父への想いに悲しげに目を伏せるアンティークゴールドの瞳だったが、次の瞬間には銀の梟への強い恨みの色を乗せていた


セベク『..許さんぞ、あいつらめ!』








その後、バウルの分を食べるグリムの食レポに気が変わったのか、やはり食べると取り合いが始まり、慌てたシルバーとセベクによって新しいものが用意された


リリア『はっはっは!ほんとよく食べるよな、お前は』


バウル『ぅっ..』


リリア『くくくっ..ん?(あいつ..)』





『ぅぅぅ..くすん..』


ユウ『レイラ、大丈夫だよ。怖かったね。よしよし..我慢しないで泣いていいよ』


『ユウ..っ』


シルバー『体が震えている。確かにあの声量には驚いたな。ゆっくりでいい、落ち着いて呼吸を整えるんだ』


背中を擦りながら優しく声をかけると、甘えるようにポスっと寄りかかり、グリグリと額を擦り付けた


『ぅっ..ぐすっ..』


シルバー『(甘えてくれているのか..可愛いな)』


ユウ『(い"ぃぃぃぃ!!)』



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