第11章 *暴走プリーフェクト*
トレイの悲痛な響きは彼に届くことなかった
その時、黒いインクは心を染め上げ厳格な深紅の精神を汚し、蝕んでいった
その淀みは宝石を濁らせ、彼の姿を変えていく
黒いモヤがリドルを包み、晴れた先にいたのは白を基調とした寮服ではなく、淀んだ赤とインクを溢したかのような漆黒のドレスを身に纏うリドルの姿だった
血が通うことすら忘れたような病的なまでの白さの肌、右目に灯る赤い炎、全てが異様だった
『なにあれ...』
ユウ『黒いオーラが全身から...』
リドル『ククク...ハハハ!ボクに逆らう愚か者共、そんな奴らはボクの世界にいらない。ボクの世界ではボクこそが法律。ボクこそが世界のルールだ!返事は"はい、リドル様"以外許さない!ボクに逆らう奴はみんな首をはねてやる!アハハハ!』
リドルとしゃがれた声が混じり合う。クロウリーはそんなリドルの姿に頭を抱えた
学園長『ああ、なんてことだ!私がついていながら生徒をオーバーブロットさせてしまうなんて!』
『クロさん、オーバーブロットってなに?』
学園長『オーバーブロットは魔法士が一番避けねばならない状態です。彼は今、負のエネルギーに囚われて感情と魔力のコントロールを失っている』
『闇落ち的な?』
ケイト『あー!そうそれ!闇落ちバーサーカー状態ってこと!』
『このままだとあの人どうなるの?』
トレイ『命に関わる事になる』
グリム『命ィィィィ!?』
学園長『とにかく生徒の命が最優先事項です。他の寮生は私が避難させましょう。ローズハート君の魔力が尽きる前に正気に戻さねば。命を失うことも最悪ですが、更に最悪なのが...。とにかく、君達は他の教員と寮長達に応援を要請して、』
エース『だらあああ!くらえー!!!』
デュース『いでよ!大釜!』
グリム『ふな"ぁぁぁぁ!!』
クロウリーの言葉を無視して、いつの間にかエース達はリドルへと攻撃を仕掛け始めていた
『イマジネーション...あの人を、抑える!はっ!』
レイラはドワーフ鉱山で見せた闇の手を召喚し、リドルの身体を押さえ付けた