第87章 *懐刀インパクト*
バキィィイン!!
シルバーとセベクの同時攻撃が右大将を確実に捉え、その顔を包んでいた物々しい仮面を破壊した
『『はぁ、はぁっ..!』』
カラリと地面に落ちた仮面を見つめる、隠れていた赤い瞳が驚きで丸く揺れる
『『『!!!!』』』
その暴かれた素顔にレイラたちは息を呑む。それは、見間違いでも空似でもない、まさに自分たちの知る"リリア・ヴァンルージュ"であった
右大将『人間が、この俺の面を落とした..だと?』
ユウ『えっ、その顔..』
『リィ、さん..?』
シルバー『ーー親父殿』
リリア『おやじ?俺は息子を持った覚えはねえぞ。しかも人間の 』
シルバー『あっ..し、失礼しました』
セベク『僕は..夢を見ているのか?目の前に、右大将時代のリリア様が..っ!』
シルバー『しっかりしろ、セベク。何度も言うが、これは夢だ』
ユウ『レイラ、グリム、大丈夫!?』
グリム『オレ様は全然平気なんだゾ。でもレイラが..』
『私も、大丈夫。それよりあの人..リィさん、だよね』
ユウ『うん、多分..』
バウル『右大将殿、ご無事ですかぁーーーっ!おのれ、人間めぇ!』
駆け寄ってきたバウルはリリアの仮面が外されたことに怒り狂いながら、周りの異形の戦士たちに捕縛するように命令を下すが、リリアに騒ぐなと一喝された
リリア『面を落とされただけで体には傷一つ付いていない』
バウル『しかし..っ!』
リリア『おい、人間ども。お前らただの学生じゃねえな。その戦い方をどこで習った?』
シルバー『俺とセベクは幼い頃より、さる夜の眷属の妖精に修行をつけてもらっていました』
リリア『夜の眷属..どおりで馴染みがある動きなわけだ。
..で、お前は?』
赤い双眸がシルバー達の後方に座り込むレイラへと向けられる。突然向けられた視線に肩を震わせ、自分を守るように抱きとめるユウに体を寄せた
『私、は..』
バウル『!!その髪と血のような色の瞳、そして兎の獣人ーーーー貴様、まさかあの"黒兎"か!?』