第81章 *閑話カームデイ10 〜ポムフィオーレメイン〜*
〔No side〕
ポムフィオーレ寮・ルークの部屋
部屋のドアを器用に片手で開け中に入ると、大きなベッドの上に優しくレイラを降ろした
『ルクさん、えっと、ここ、私の部屋じゃ..』
ルーク『知っているとも。ここは私の部屋だ』
『ど、して..?』
状況が読めずオロオロするレイラを正面から抱きしめると、耳に口を寄せて縋るような声で囁いた
ルーク『今夜だけでいい、君を抱きしめて眠りたい』
『んっ..いい、よ?』
耳元を掠める吐息に身を捩りながらも頷くと、体を離したルークはそれは嬉しそうに顔をほころばせた
ルーク『ユウくんには私から連絡を入れておくよ。目覚めたとき隣に君がいないと知ったら、彼はこの寮のありとあらゆるところを探し回るだろうから』
頬を撫で冗談めかして言うと、少しだけレイラの口元に笑みが浮かんだ
それを見たルークは、頬を撫でる手でそっと顔を持ち上げると、ゆっくり額をコツンと合わせる
至近距離の赤い瞳が驚きに揺れ何度もまばたきを繰り返す
ルーク『キスを、しても..?』
その問いに白い頬をほんのりと赤く染めて頷くと、ルークは優しく静かにその唇を奪った
『ん..っ..』
ルーク『好きだよ、レイラくん。君が愛おしくてたまらないんだ』
『!!..でも、さっき..私..』
ルーク『あれは悪い夢だった..そういうことにしよう。それに、そのことで私が君に寄せる想いは変わりなどしないよ』
『ルク、さん..』
ルーク『君の想いも聞かせておくれ。君にとって、私はどういう人間なのか』
『..ルクさんは、ちょっと不思議で、ちょっと怖くて..でも、優しくて温かい。私たちのこと見守ってくれたりアドバイスくれたり、周りの人をいつも見てて助けてくれる。
そんなルクさん、私は大好き』
嘘偽りない言葉が優しく染み込んでいく。花でも咲いたかのような幸福感がルークの心に芽吹き、テラスでの出来事を晴らすような穏やかで甘い空気が流れる
ルーク『ありがとう、兎の君』
強く抱きしめられ耳にキスを落とされる。その想いに応えるように背中に腕を回し首元に顔を寄せ、彼の温もりと匂いに静かに目を閉じた