第78章 *最終決戦*
ヴィル『!!?この棘..』
ルーク『まさか、レイラくんのあの魔法!?』
ヴィル『しかも、ただ闇雲に出現させていない。あたしたちやユウやスタッフたちのいる入り口はちゃんと避けてる..すごいわ』
見回しても自分の周りに棘やシミがないことに、思わず感嘆の声が漏れる
ルーク『なおかつ、確実にファントム1体1体を貫いている。私達とファントムたちの位置を一瞬で把握しながらいくつもの棘をコントロールしている。あれだけの数、先程より多い上にかなりの集中力を強いられるはずだというのに..本当に素晴らしいよ、兎の君』
『(ぅぅ..疲れる..でもこれで少しでもヴィルさんたちが魔力を使わなくて済むなら)』
エペル『くらえええ!!』
?『ギィィィ!!アヅイ..アヅイィィィ!!』
『!!』
背後からの声にハッとして顔だけ振り返ると、運良く棘の猛攻から逃れたファントムが奇声を上げて迫ってきたところを、エペルが炎の魔法で撃退した瞬間だった
『あ、ありがと』
エペル『言っただろ、絶対に守るって。これでさっきのはチャラってことで..なんて』
ニヤッとした意地悪げな笑みに、レイラの心にくすぐったいような温かいものがふわりと灯った
ファントムたちの全ての消滅を確認し魔力を消して棘を仕舞うと、一気に魔力を消費したことによる疲れが溢れ、レイラはその場でペタンと座り込んだ
『ぁぅ』
エペル『レイラ!だ、大丈夫!?』
『ん、ちょっと疲れた』
ヴィル『調子に乗って難度の高いことしようとするからよ。今魔力をすっからかんにしてどうするの。リドルやレオナたちがイデアたちを足止め出来なかったら、あたしたちが最後の砦なんだから』
『ぅ..ごめんなさい』
叱られて耳を垂らし俯いて落ち込んでいると、頭に温かい感触が乗った
ヴィル『でも、おかげで思った以上に魔力を消費せずに済んだわ。ありがとう』
ルーク『君の献身で私達の魔力にはまだ余裕がある。来たるべき大きな戦いに充分備えられそうだよ。
さぁ、少し移動しようか。またファントムたちが登ってこないとも限らない』
座り込んだレイラをサッと横抱きにすると、ユウたちのいる安全地帯へと運び出した