第78章 *最終決戦*
ピコン、ピコン、ピコン
突然、ヴィルの寮服から何かの発信音が鳴り響く。いち早く音に気づいたルークは、それが何から発せられているのか分かっていた
ルーク『ヴィル、トランシーバーの呼び出し音が!』
ヴィル『こちら、第1タワーのヴィル。どうぞ』
レオナ『第2タワー、レオナだ』
リドル『第3タワー、リドル・ローズハート。どうぞ』
?『良かった!全員繋がったね。こちら管制室』
トランシーバーの先から聞こえたレオナ・リドルの声が、全員の無事を表していた。その事実にホッとしつつも、ヴィルはこの状況を管制室のスタッフに問う
『(リドルさん、レオさん。無事で良かった..)』
[良い匂いダ。見てご覧ヨ、ブロットの塊の石があんなにゴロゴロと落ちてル。まさにごちそうの山ダ!ねぇ、今のうちに拾ってしまおウ]
『ダメ..』
[誰も見ていないサ。ねぇ、お願いだヨ。ボクはあれが食べたくて食べたくて仕方ないんダ]
『だからダメだっ..ぅっ..』
ぐらりと意識が揺らぎ、手が勝手に目の前に落ちているブロットの石を手に取っていく
『や、め..』
声を上げようとするも喉に何かがつっかえたように上手く発することができなかった。視線だけでも何とか動かしてヴィルたちを見やるが、全員トランシーバーでの会話に耳を傾けていた
『(誰か..止めて..っ)』
[無理だヨ。みんなキミのことなんて眼中になイ。どうせ、どうでもいいって思ってるんだろうサ]
まるで鼻歌でも歌っているかのように弾んだ声で、ノアはレイラの手を動かし、ブロットの石をいくつか集めると、寮服のポケットに次々としまい込んだ
[まあ、これくらいでいいだろウ。ああ、捨てようなんて思わないことだネ。魔法でポケットと石を結びつけておいたから、例えキミでも外せなイ。外せるのはボクだけサ]
『...』
[彼らに外してもらおうとしてもいいけれド、結果は変わらないし、何よりこれをポケットに入れてたことを怪しまれても知らないからネ?]
クスクス笑う声に口を閉ざすと、ノアは満足したように意識の底へと姿を消し、体の自由を戻した
『(どうしよう..)』