第77章 *第1タワー Ⅱ*
カードキーを奪ったであろうファントムを探して、怪しいケージを開け続けていく。既にケージの外へ出たファントムがいることも想定して、慎重に進んでいく
道中、エペルの成長にヴィルが珍しく称賛したり、狡猾なファントムが飛び出してきたり、ケージの施錠が頑丈になってきたりと色々あったが、現時点ではっきりしているのは、この階層のファントムたちは全て危険で強力だということだった
『このケージ、ボロボロ』
ユウ『ホントだ。金属の破片が散らばってる』
歩くたびにパキパキと破片が踏み砕かれる音がそこらじゅうから聞こえる。ヴィルから"足元に注意をして"という忠告を受け、できるだけ破片のない場所を歩いて渡る
エペル『この金属の破片、ケージの素材と同じ..?』
足元の大きな破片を手にしたエペルは、見た目と質感がケージと酷似していることに気づく。ふと顔を上げた次の瞬間、彼の視界に映るレイラの背後から、ファントムが迫っているのが見えた
エペル『レイラ、危ない!』
『ぇ..わわっ..!』
『『エペル!/エペルくん!』』
そこからの行動は素早く、今にも振り下ろされた爪が当たる前にレイラに飛びつく形で押し出した
エペル『(魔法の発動が間に合わない!こうなったら..!)
うぉりゃぁあああっ!!!』
魔法が放つ時間がないと悟ると、すぐさま立ち上がり軸足に力を入れると、体を回転させてもう片方の足で勢いよくファントムに回し蹴りを食らわせた
?『ギャッ!!!』
吹き飛ばされたファントムは近くのケージにぶつかると、反動でヴィルたちの近くに転げ落ちた。その瞬間を見逃さず、ヴィルとルークはすぐさま魔法を放ちファントムを撃退することに成功した
ルーク『マーヴェラス!レイラくんを庇うためのタックル、そしてファントムを怯ませた華麗な回し蹴り。どちらも実に素晴らしかったが..エペルくん、怪我はないかい?』
エペル『はい、大丈夫です。先輩たちがすぐに加勢してくれましたから』
ヴィル『あんたが咄嗟に反応したおかげで、レイラも無事だった。スマートさには欠けるけど..いい判断だったわよ、エペル。
今のあんたになら、背中を任せても良さそうね。この先も頼んだわよ』
エペル『..っはい!任せてください!』