第77章 *第1タワー Ⅱ*
ヴィル『それも1つの手だけど..雷霆の槍はもしもの時のための切り札。タイタンと交戦する可能性がある以上、ここでは切りたくないカードだわ。
それにタルタロスは一本道。収容所のドアは出た後にきちんとロックしておかないと、ケージから出てきたファントムに後ろを取られる可能性が高くなる』
エペル『た、たしかに..』
ヴィル『S.T.Y.X所員からもらったマップとセットになっていた緊急事態用マニュアルによると、緊急脱出用のカードキーが、収容所内にあるセキュリティボックスに保存されているはず。オルトがこの収容所にイタズラをしていないなら、まだそこにキーがあるかもしれないわ』
ルーク『すぐに調べてみよう』
セキュリティボックスを探して壁沿いに進んでいると、平坦な壁の一部が大きく凹んでいて、箱らしきものが置いてあるのが見えた
ルーク『..セキュリティボックスは..はっ!ヴィル、これを見てくれ!』
ヴィル『!!セキュリティボックスが破壊されて、中身が持ち出されてる』
エペル『やっぱりオルトクンに先回りされてた?でも、この破壊のされ方って、まるで大きな獣が壊したみたい』
ボロボロになったボックスの施錠部分と、周りの壁には鋭い爪の様なもので引っ掻いたような跡が痛々しく残っており、明らかにオルトの仕業でも、人によるものでもないと分かった
エペル『それに、傷跡の周りに飛び散ったインクみたいなべちょべちょした黒い液体..』
ヴィル『まさか、ファントムが自らキーを盗んだ..?』
ルーク『人間を装い、我々を騙すほど知能が高い個体も存在する。もしかすると、自らキーを使いケージの外に出ようしているのかもしれない』
ユウ『でも、姿は見当たらないですね』
エペル『まさか..隠れて僕たちの様子を窺ってる、とか?』
ヴィル『あり得るわ、あたしたちの不意をついて倒し、外に出るつもりかもしれない』
ルーク『結局、ケージを1つずつ開けて確かめてみるしか道はないようだね』
ヴィル『姿を晒している分、状況的にあたしたちのほうが不利だわ。ユウ、エペル、レイラ。あたしの後ろから離れないで』
エペル『は..はい!ヴィルサンの背中は僕たちに任せてください!』
ヴィル『..いくわよ』