第77章 *第1タワー Ⅱ*
ヴィル『あの子自身、擦り切れたスウェットや継ぎ接ぎしたパンツ姿をファンに晒すのを全く気にしない子だから、完全に余計なアドバイスだったんだけど』
エペル『あ、あはは..(レイラチャンの周りから黒いオーラが出てる..)』
ユウ『レイラ、どうどう』
『..怒ってない』
エペル『でも、ルークサンがおめかしすることでいつもより楽しめたなら、それで良かったんじゃない..かな?』
ルーク『エペルくんの言うとおりさ。未知との出会い..それはいつだってボーテな経験だからね!』
シュンっ...
和やかな談笑を裂くように、突然遠くの方で黒い小さな影が走っていくのが全員の視界が捉えた
『!!今のって』
ユウ『グリム!?』
ルーク『!!追いかけてみよう!』
謎の影の正体を暴くべく、急いで一行は謎の影を追って走り出した。ユウとレイラの胸には、どうかグリムであってほしいという淡い希望がともっていた
エペル『はあ、はあ..グリムクーン!!』
そこまで離れた距離ではなかったはずだったが、途中で謎の影を見失ってしまった一行は、その場で立ち止まり辺りをよく見渡してグリムの姿を探した
ルーク『タルタロス内は基本一本道、見失うわけが..』
『!!みんな、上!』
?『フシャァァアア!!!』
いち早く物音に気づき上を見上げると、天井に張り付きながらこちらを睨むファントムの姿を見つけ声を上げる。同時にファントムは真下から落ちるようにこちらへと襲いかかってきた
ルーク『みんな構えて!』
?『ギャルルル...!』
ファントムが溶けていくのを見届けると、全員から安心感と残念な気持ちが順に巡っていく
『グリムじゃなかった..』
ヴィル『背格好が似たファントムだったみたいね』
エペル『今回は絶対にグリムクンだと思ったのに!』
ルーク『私もさ。普段なら動物の形状を見間違えるなんてありえないのに..さすがに疲労が溜まってきている証拠かな』
ユウ『なら、疲労回復に甘いチョコレートバーでもどうですか?』
ポケットに忍ばせておいた携帯食料を取り出し、ルークたちに手渡すと"気遣いをありがとう"とルークとエペルはそれぞれ受け取った