第76章 *第1タワー*
ヴィル『あらルーク。あたしが見ていない間に随分とレイラと仲良くなったじゃない。ちょっと前まで裏切り者としてあれだけ嫌われていたのに』
ルーク『うっ..痛いことを思い出させないでおくれ。今、その挽回を必死にやっているところなのさ』
ヴィルのわざとらしい悪態に困ったような笑みを浮かべると、片腕に抱くレイラの方へと顔を向ける
ルーク『こんな非常時に、情けない男だろ?』
『ううん。狩人さんは優しい人だよ』
ルーク『..優しくなどないさ。君に気に入られるために、ご機嫌取りをしているだけだよ』
『...嘘つき』
その言葉に返事は帰って来ることはなく、代わりに少し強くなった肩を抱く力になすがまま身を預けた
ユウ『...』
エペル『ユウクン?さっきから凄い顔怖いけど..あっ、もしかしてレイラチャンとルークサンのこと?』
ユウ『あの子に信頼できる人が増えてくのは嬉しいはずなのに、その度にどんどん僕との時間が少なくなってる気がしてさ。ダメだって分かってるんだけど、やっぱり僕だけを見ていてほしいって思っちゃうんだよね』
エペル『..でも、僕たちからしたら、ユウクンの立場ってすごく羨ましいなって思うよ』
ユウ『よく言われる』
ヴィル『あんたたち、あまり離れて歩かないで。いざという時に分断でもされたらたまったもんじゃないわ』
『『すみません』』
ズシン!
突然、地を突き上げるような大きな揺れと、地響きのような音がタルタロス中に響き渡り、全員の体に緊張感が走った
ヴィル『!?じ、地震!?』
エペル『うわわっ!階段から落ちる!』
『わわ..っ.』
ルーク『私にしっかり掴まって。そう、いい子だ』
いくつもの揺れで足元がおぼつかなくなり倒れそうになる。なんとか体制を維持しながら、壁に手をついて揺れを耐えしのんだ
『ぅぅ....ん?この音、何かの足音?』
ルーク『!!どうやらそうみたいだ』
ズシン!ズシン!
『『『!!!!』』』
ユウ『なに、あれ』
『おっきな..ファントム?』
突如現れた巨大な双頭のファントムに驚くのも束の間、岩のような大きな拳が5人めがけて振り下ろされた