第76章 *第1タワー*
最後にもう一度強く抱きしめた後、そっと体を離して全員に向き直った
ユウ『いきなりどうしたんです?』
ヴィル『失礼ね。あたしだって嬉しければハグくらいするし、感謝のキスだってするわ。あたしの狩人、あたしの毒林檎。それから、ユウ..あたしの大切な小兎。
..追いかけてきてくれて、ありがとう』
声色から伝わる喜びと感謝、そして優しい微笑みが強張っていた四人の体をほぐしていくようだった
ヴィル『あんたたちのことは、あたしが必ず学園に連れて帰ってみせるわ』
ルーク『それは私達の台詞さ、我らが女王陛下』
エペル『へへっ!わも今度だば、ぜってー負けねえはんで!』
ユウ『僕も、出来ることをしっかりやりますよ』
『私も、みんなのこと守る。一緒に..みんな一緒に帰る』
エペル『だって、聞いてくださいよヴィルさん!俺、ここに来る途中でユニーク魔法を覚えたんです!』
ヴィル『えっ!?』
ルーク『そうなんだよ!ヴィルもさっき目にしただろう?カローンが美しいガラスの檻にとられられた姿を!』
ヴィル『まさか..あれがエペルのユニーク魔法なの?』
エペル『はい!真紅の果実は、相手を結界の中に閉じ込めて、動きを止めることができるんです。まだ全然使いこなせてなくて、成功率は3.4割くらいなんですけど..』
ユウ『僕らもそれで命を助けてもらいました。ね?』
『ん』
ルーク『我々がカローンに襲われて、万事休す!というときにエペルくんのユニーク魔法が覚醒したんだ。私の目に録画機能が備わっていなかったことを、今日ほど残念に思ったことはない。ヴィルにもあの勇姿を見せたかったよ!』
ヴィル『ふっ..たしかにその場に居合わせられなかったのは残念。でもエペルの勇姿なら、すぐに見せてもらうことになりそうよ』
ルーク『..はっ!そうだね、ヴィルの言うとおりだ』
突然眉間にシワを寄せて周囲を警戒するように睨む二人に、エペルは首を傾げて問いかける
エペル『先輩たち、どうしたんですか?急に真剣な顔して..』
『なにか、来る。下から』
ヴィル『構えなさい!』