第75章 *拡大デンジャー*
会話の内容から、自分の立場がこの小さな揉め事を起こしていると思い込み、今にも泣きそうな声で尋ねると、ヴィルたちは慌てた様子で勢いよく振り返った
ヴィル『そうじゃないわよ。だけど、もうあんたを怪我させるわけにはいかないの。一度自分の手であんたを傷つけてしまったのを、あたしは今でも凄く後悔しているし、償いたくて仕方ないの』
『ヴィルさん..』
レオナ『はっ、だったら尚更その傷つけたやつにレイラが守れるとは思えねぇな』
リドル『彼女を傷つけたのは、ヴィル先輩だけではないと思いますけどね』
リドルの一言にレオナの瞳がギラリと光る
レオナ『ああ?』
リドル『レオナ先輩も、ですよね』
レオナ『てめぇな..自分のこと棚に上げて、』
リドル『勿論、このボクも..』
レオナ『....』
後悔の表情で床に視線を落とすその姿に、レオナはそれ以上言うことはできずに、乱暴に頭をガシガシとかいた
ジャミル『まあ、ここにいる被験体組は全員、レイラを傷つけた連中..ということですね』
アズール『そうですね。二度とごめんですが』
『みんな、ごめんね。こんな大事な時に、変なことでケンカさせちゃって』
ルーク『君が謝る必要はないさ。みな、ただ君を心配して守りたいと思っているだけだ』
『ん。みんなの気持ちは嬉しい。でも、私はヴィルさんについてくよ。ユウのことも守りたいし。それに、次は守ってくれるって言ってくれたから』
ユウ『!!うん、必ずね』
『だからみんな..』
お願い、と言わんばかりの視線を向けると、レオナたちは仕方ないとそれぞれ返事をしてその場は収まった
ヴィル『じゃあ、気を取り直して。残るはアズールとジャミルだけど..』
アズール『ちょうど精密検査で魔法の性能や性質が分かったことですし、僕とジャミルさんは相性の良いリーダーとチームを組むべきかと』
レオナ『ふん。蛇もタコも、いざって時には人を盾にする腹黒いやつには変わりねぇだろ。どっちでもいい、さっさと決めろ』
アズール『では、僕はリドルさんと共に第3タワーへ向かいます。レオナさんのユニーク魔法で生じる"乾き"は、人魚が最も苦手とするものですから』