第2章 おかえり
目が覚めてから20分
ベッドに座ったまま半目でぼーっとする。
眠い寝たい眠い寝たい眠い寝たい
脳内ではこの言葉達が無限ループする。
いつもよりも更に体が怠い。
昨日、あれこれ考え過ぎたせいでベッドに入ってからなかなか寝付けなかったせいだ。
今日は特に予定もなく時間に追われているという訳ではないが、居候の身であるのに何もせず置いてもらうのは気が引ける。
ある程度家事をしようと決めていた。
1人で暮らしていたときは、学校が休みの日は昼前まで寝てから短期バイトに行くっていう生活をしていたので苦手な朝はゴロゴロしていた。
だが居候の身として家事をするとなるとそうもいかない。
まずは朝ごはん。
朝ごはんとは朝に食べるもの。
早起きしなければならない。
そういえば昨日セットした炊飯器がそろそろ炊けるはず。
怠い身体を無理矢理動かしてベッドから降りるとノロノロと部屋を出て行く。
ほぼ目を瞑っている状態で歩いていたので階段を降りて居間に行く途中の廊下の壁にゴンッという鈍い音をさせて激突した。
その音にパックの牛乳にそのまま口をつけて飲んでいた夾が様子を見に来るが、理解し難い状況に眉をひそめる。
ひまりは壁におでこをくっつけたままで身動きひとつ取ろうとしなかった。
「おまえ…何やってんの?」
その問いかけにも返事が無いことに困惑する。
え、頭打って意識飛んでる??
いや、昨日一瞬とはいえ様子がおかしかったし、まさか泣いてるんじゃ…と思い近付いてみると
すーすーと規則的な寝息が聞こえてきた。
「…なんだよ…。寝てんのかよ…」
はぁーと安堵のため息を吐いてグタッと項垂れる。
「おやおや、由希君並の寝起きの悪さだねぇ」
そこに紫呉がいつの間にかひょっこり顔を出して様子を伺いにきていた。