第3章 不思議の国、私の力
「二人とも君達さえ良ければ彼らに応えてはどうかな」
「ブランさんまで...」
「僕は、この国の書記官...起きたことをただ書き残すが仕事でね。軍には、干渉できない立場にある。カイルとゼロは、信用できる。どうするかは、君たちの意思次第だ」
(断れる雰囲気じゃないし...それに透がいてくれるから...)
「「わかりました」」
私たちは、同時に返事した。
「ただし、ちゃんと帰してくれますよね?」
「約束する。思いきりのいい人間は、好きだしな...来い」
(わっ!)
ゼロのたくましい腕に軽々と抱き上げられ、馬の背へと乗せられる。
透は、カイルの馬に乗っていた。
「悪いが飛ばすぞ紅葉」
「はい!」
そう返事をした後ブランさんが言った。
「気をつけて。すぐにまた君たちに会いに行くよ」
手をふるブランさんがあっという間に遠ざかり、私たちは、夜の闇の中へと連れ去られた。