第3章 不思議の国、私の力
「ただ、穴が開くのは、満月の夜の数時間だけにかぎるんだ」
「えっ!?トンネルは...」
「ああ、残念ながらしまってしまった。次の満月まで開くことはない」
「1ヶ月先まで帰れないってこと!そんな...」
(わぁっ!)
馬車が急に停車し、話は、そこで途切れてしまった。
「扉を開けろ。ブラン=ラパン。紅葉と透という二人組は、そこにいるな?」
(私たちを読んでる?いったい誰なの?)
「どうやら、僕が君たちを連れ出したことがバレたみたいだ。赤の軍が迎えを寄越したらしい」
「えっ?」
「はっ?」
「すぐ終わるからちょっと出てこい。ドアをこじ開けるなんて面倒な真似は、したくねぇからな」
「君達行こうか」
(ちょっと不安だな......)
私が不安になっていると透が小さな声で言った。
「大丈夫?」
「うん...。大丈夫だよ」
私は、返事をして恐々外へと出る。
外に出ると馬に乗った2人の男性が私たちの前に立ちはだかった。