第3章 不思議の国、私の力
「君たちには、この国『クレイドル』の秘密を知っておいてもらった方が良さそうだね」
ブランさんは、カバンから地図を取り出し私たちの前に広げて見せる。
「クレイドルは、『赤の軍』と『黒の軍』...二つの軍によって統治される軍事国家だ」
(アリスが旅した不思議の国が軍事国家!?)
「西側が赤の軍の領地。東側が黒の軍の領地。そして僕たちが今いるのが、両軍の
中立地帯で政治・経済の中心でもある『セントラル地区』だよ。さっきまでいた庭園は、『ガーデン』と呼ばれる国の重任が集まり議会や裁判を開く場所だ。軍の幹部と議会の記録をとる書記官...。つまり僕以外は、立ち入り禁止になっている」
「だからヨナって人たちは、俺たちを捕まえようとしてたのか」
「赤と黒各軍の幹部は、どちらも『選ばれし13人』と呼ばれている。偉い順からキング、クイーン、ジャック...10そして一番下がエースだ。ただしエースは、軍の中で特殊な体務を担当することが多くて、破格の扱いを受けている」