第3章 不思議の国、私の力
「「はっ!?」」
「その幼い女の子のことは、君たちも知っているはずだ。名前は、『アリス』」
「「アリスってまさか...!」」
「そう。ベストセラー『不思議の国のアリス』のモデルであり、史上初の科学の国からのお客様だ。君は、さしずめ、第二のアリスというところかな」
ブランさんは、私の方を見てそう言った。
(私が『アリス』...。なんだか本当に迷い混んだみたい)
「初代アリスは、おてんば娘でね。魔法を弾き飛ばして遊び回り、国中が手を焼いた。まさか、あの事件が元に『科学の国』で本が出版されるとは思っても見なかった」
「『不思議の国のアリス』の物語は、この国で起こったことなんですか?」
「いや、実際は、動物がしゃべったり、怪物がうろついたり、カードが兵隊に化けたりしないし...不思議の国の内情は、もう少し厄介でなかなかに危険だ」
「「厄介で危険...?」」
同時にそう言っていた。