第3章 不思議の国、私の力
「あれは、何だ?」
「キラキラして綺麗」
「あれは、魔法の力を宿した水晶『魔法石』とよばれるものだよ。ただ光るだけじゃない手にした人間は、誰でも魔法を使うことが出来るんだ」
(魔法なんて現実にあるわけないけど...)
窓の向こうでは、宝石が宙に浮き、電気とは違う不思議な光を放っていた。
「ここはね。透くんが生まれ育った世界のもうひとつの姿、コインの裏側。科学の代わりに魔法が発達した世界なんだ。紅葉にとっては第二の故郷と言える場所かな」
「えっ!?どういうことですか?」
「君のお母さんは、元不思議の国の住人で魔法が使えていたんだ。お父さんは、科学の国の住人なんだ」
「てことは、紅葉は、魔法使いてこと?」
「そうなるね」
「えっ!?私、魔法なんて使ったことありません!」
(一旦落ちつないと...)
私がそう思っていると透からデコピンを食らった。
「痛い!」