第3章 不思議の国、私の力
帽子店さんと呼ばれた男性は私を離し、そばに停められていた馬車の御者に飛び乗る。
「さあ、君たちは、僕と馬車の中へ。急いでこの場所を離れよう」
「えっ!私も?」
「えっ!俺も?」
私と透は、同時にそう言った。
「そう、君たちも。...おいで」
私達は、そう言われ馬車の中へ乗り込んだ。
ふかふかのクッションに腰を下ろすと馬車はすぐさま動き出した。
「さてと、これでゆっくり話ができる。紅葉は、僕の落とし物を届けに来たと言っていたね」
「あっ!この懐中時計ブランさんのですよね?」
「本当だ...。落としていたとは気付かなかった。ありがとう。恩にきるよ。これはとても大事なものなんだ」
ブランさんは、懐中時計を受け取りとろけるように甘い笑顔を見せた。
「良かったです。今度から気を付けてくださいね」
(良かった!これで色々訪ねることができる)
「ここはどこなんですか?」