第3章 不思議の国、私の力
「ボケッとするな。こういうときは走って逃げるのが常識だろうが」
「えっ?」
私は、シルクハットの男性に引っ張られる。
「おい!待てよ」
透も後ろからついてくる。
私たちは、すぐそばにあった扉の中へと連れ込まれた。
すると螺旋階段の下に役所のような大ホールが広がった。
(さっき私達がいたのは、この建物の庭だったんだ!)
あなたは、誰ですか?どうして私たちを...」
「黙って走れ、ポンコツ。さっきのやつらに捕まりたいのか」
(ポンコツってひどい...。そんな)
「紅葉をポンコツって言うなっ!」
唖然としながら彼に引きずられ、階段をかけ降り、大ホールをつっきる。
「よっと!」
正面と扉が彼の長い足で蹴破ると、月明かりに照らされた路地が目の前に開けた。
「彼らを連れ出してありがとう助かったよ。帽子屋さん」
(ブランさんっ!)
「礼なんて言ってる暇あったら、とっととずらかるぞブラン」