第3章 不思議の国、私の力
「まあいいや、君たちは、この俺をヨナ=クレメンスを知らないとでも言うつもり?」
「そんなこと言われても...」
「知らねぇもんは知らねぇんだ!この手を離せ!」
「知らない顔ですね。貴方たちは、どうやってこの場所へ入ったんですか?」
「説明が難しいんですが。あの人を追いかけて迷い込んでしまったんです」
「『あの人』とは、どなたでしょうか?」
「だからあそこに立ってる...。あれ?」
ブランさんがいた方を見るとブランさんは、消えていた。
(せっかく見つけたのに!また見失っちゃう!)
「すいません。先を急ぐので失礼します」
「神聖な『ガーデン』に不法侵入しておいて、そんなごまかしが通用すると思うの?」
「ごまかすも何も.. 。」
「ごまかしてるわけじゃねーよ!」
「言い訳は要らないよ。俺をなめないでくれる?」
ヨナと名乗った男性は、内ポケットからなにかを取り出し、私達の両手首へ素早く巻き付ける。