第8章 シーカーの誕生
それからしばらくしてセドリックは返したジャケットを着てやって来た
格好良い服を着て、モデルか何かと思うほどスタイルが良い
そして、「ほら、行こう」と言ってまだ広場への道の記憶が覚束無いヴィオラを案内してくれる
さすがはハッフルパフの王子様だ
「はは、チョコを食べてタヌキになるなんて、災難だったね」
「んもう、やめてよセドリック」
先程からずっとこの調子である
ヴィオラが入学式の事を説明すると、セドリックは度々面白そうにクスクス笑い、からかってくる
「あの時の事はもう思い出したくないよ……しかも帽子に叫ばれるなんて本当に驚いたんだから」
「組み分け帽子の事か…あれは僕もびっくりしたな
組み分け帽子がああなることは滅多にないから」
「先生達にもすごい目で見られてたんだからね」
「ははは、だろうね」
(本当に思い出したくないのにっ!
っていうか、セドリックってこんなキャラだったっけ?!)
何も目立ちたくて目立っているわけでは無い
ただ穏便に過ごせればそれでいいのだ
まあヴォルデモート戦になるとそうはいかないだろうが、それまでは至って普通の生徒がいい
「そういえば、君、クィディッチチームのマネージャーになったって本当?」
「ああ、うん、マクゴナガル先生がスカウトしてくれたの
でも、選手としては少し目立つのが嫌だったから無理を言って、ウッドにマネージャーにしてもらったんだよ」
「そうか……本当だったんだね」
「??どうしたの?」
「いや、ちょっと色々聞いてたから……」
「???」
(色々って何?)
どうもセドリックの様子が少しおかしかった
何かを考え込むかのように難しい顔をしている
答えてもらえそうではなかったので、あえて聞かなかった
黙っていると、セドリックが話す
「ヴィオラは、マリエレンダの子女だろ?」
「??うん」
「マリエレンダは聖28一族の一つだから、結構君は噂になってるんだよ」
「ええ?どんな噂なのよ……」
「あはは、まあ色々だよ色々
あとは容姿の事だね……」
「へ?」
「いや、なんでもない」
小声でセドリックが何か言うが、聞こえなかった
ここでいうが、「聖28一族」とは、純血の家紋の事だ