第8章 シーカーの誕生
そんな事を考えていると、先程の男子生徒が戻ってきた
「んーで、セドリックに借りたもん返すんだっけ?」
「はい、そうです」
「へぇー
おーい!色男ー!!ガールフレンドが来たぞー!!」
「へえ!?」
(ガールフレンド!?)
男子生徒はヴィオラの返答を聞くと、面白そうに叫び出した
驚き、目を見開いたまま佇んでいると、バタバタと音を立てて何かが来る
噂の色男がやって来た
「パーカー!何言ってるんだよ!」
「はは、図星か?」
「そんな訳ないだろう!」
「うわ、かわいそ、こんな可愛い女の子がせっかく会いに来たのになぁ」
「誤解を招く言い方はよしてくれよ、
というか、ガールフレンドって……」
セドリックはそう言って、横目にヴィオラを見た
すると、彼は「あ」と言い、ヴィオラを見つめた
………………
「おいおい、お二人さん、俺を挟んで見つめ合うなよ」
「そそ、そんな事してませんよ!」
「パーカー……もう、いいからあっち行けよ」
「へいへい、あとは二人で仲良くやってな〜」
パーカーと呼ばれる彼は手を軽く振ってそう言い残し、寮を出て庭の方へと出ていってしまった
残された二人には、微妙な空気が漂う
「「……………………」」
(ど、どうしよう……何を言えば……)
「えっと……ヴィオラだよね?」
「へ?なんで知って……」
「入学式でタヌキ耳生やしてたのは君だけだから、多分全校生徒が覚えてるよ?」
「あー」
セドリックにそう言われ、納得した
(確かに、動物に変身して姿を見せたわけだからそりゃ目立っちゃうよね)
もう二度と「変身マーブルチョコ」は食べないと、心に誓ったヴィオラであった
深呼吸をして、セドリックに向き直る
「あのねセドリック、この前のジャケット返しに来たの、今大丈夫かな?」
「ああ、あれか、僕は全然大丈夫だよ、そうだ、少しだけ話さない?」
「え?」
「せっかくだから仲良くしたいし、もちろん君が良ければだけど……」
「もちろん!広場で散歩でもしながら話そっか?」
「うん、じゃあちょっと待ってて」
「はーい」
そう言うと、セドリックは紙袋を受け取り、寮に戻っていく
その間、ヴィオラは壁にもたれながらずっと待っていた