第8章 シーカーの誕生
「ふふ、オリバンダーさんに今度何か差し入れようかなぁ?
一人の時に話し相手になってくれる可愛い友達の事を教えてくれたんだから」
そう微笑み、小鳥達の背中をツンツンとつつく
すると、彼らはつつく指先に擦り寄ってきた
カナリアだろうか?
綺麗で艶やかな白い色をしている
のほほんとしていると何故か言いしれない気持ちが胸に渦巻いてくる
(なーにか忘れてるかなぁ?)
…………………………………………
「はっ!セドリックのジャケット!!」
やっと思い出した
セドリックが前にジャケットを貸してくれていたのだ
(あ〜!もう、急がないと!入学式はタヌキ耳事件があったからすっかり忘れてたよ!!)
このタヌキ耳事件については、ヴィオラの名誉のためにもあえて語らないでおこう……
(ここ?)
彼女は今、紙袋を持ってハッフルパフの寮の前にいる
入学したばかりで詳しいホグワーツの仕組みは知らない
他の寮の人の知り合いなんてドラコしかいないので分からなかった
キョロキョロ
ヴィオラはずっと首を回してあっちをみたりこっちを見たりしてセドリックを探している
傍から見たら最早不審者だ……
何やらジロジロと訝しげな目で見られるが当の本人は気づいていない
(どうしよう…他の寮の生徒は入れないし、誰かに聞こうかな?)
意を決して近くにいる男子生徒に話し掛ける
「あの!」
「ん?なんだ?」
「すみません、ここに、セドリック・ディゴリーっていう人いませんか?借りたものを返さなきゃ行けなくて…」
「あー、あの色男に用があるのね、ちょっと待ってな」
そう言うと、男子生徒は奥に行く
(色男?)
…………
「そういえば、セドリックはダンスの時に女子の方から誘われてたんだった……」
思い出した
「炎のゴブレット」では、セドリックは代表選手になったのでダンスパートナーを選ばなければならなかったのだが、女子達から、熱いお誘いを受けていた
結果的にはチョウ・チャンに申し込んで踊ったのだが、彼には人望が溢れて熱狂的な人気がある
(まさかこの時期から色男って言われていたとはね……)