第8章 シーカーの誕生
急いで部屋から出て扉を閉め、三頭犬を閉じ込める
だが、三頭犬は勢い良く突っ込んできてなかなか扉は閉まらない
「押せ!押すんだ!」
ハリーはそう言って力一杯ドアを押す
三頭犬も、さすがに4人がかりの力には勝てなかったようで、バタン!と言って扉をようやく閉めることができた
「もう行こう!」
ほっとして脱力したのも束の間
ヴィオラが三人の背中を押してその場から離れるように促した
おかげで、誰にも見つからずに寮へと帰ることが出来た
「一体何考えてるんだよ!?学校にあんな化け物閉じ込めておくなんて!!」
ロンが叫んだ
冷静になり、さっきの事に疑問を抱いたのだろう
ハーマイオニーがそれに言い返す
「どこに目を付けてるのよ!怪物の足元見なかった?」
「足なんて見てる暇ないよ!頭を見るので精一杯さ!」
ロンは少し興奮気味にそう言う
だが、自分も同じ気持ちだ
なぜ、ホグワーツの一室にあんな怪物がいるのか
「ハーマイオニーは何を見たの?」
ヴィオラがそう聞くと、ハーマイオニーは少し呼吸してから話し出す
「あの怪物の足の下に仕掛け扉があったわ、何かを守ってるのよ」
「何かを守ってる?」
「その通りよ」
ホグワーツにはすごい先生が沢山いるのに怪物に守らせておくほど重要な何かがあるのか?
考えても、分からないものは分からない
確かに、あの犬はこちらに威嚇してきているような感じではあったが……
「じゃあ、失礼していいかしら?もう寝るわ
あなた達と付き合ってたら命を落としかねないもの、もっと悪くすれば退学よ
行きましょうヴィオラ」
そう言って、ハーマイオニーは踵を返した
それにヴィオラもついていく
「そ、それじゃあ二人とも、また…明日ね」
少しぎこちない感じでヴィオラは行ってしまう
「「………………」」
残された二人は顔を見合せた
少し間が空いてからロンが
「死ぬよりも退学になる方が悪いのかよ」
と言った