第8章 シーカーの誕生
「にゃああ、にゃー」
猫?
鳴き声がしたので足元を見る
するとそこには
「フィルチの猫よ!」
「わぁ!ちょっと…ミセスノリス、ごめん離れて」
フィルチの猫、ミセスノリスはヴィオラの足元にすりついて離れようとしなかった
それどころか懐いているように思える
「逃げろ!」
「急げ!あの部屋に隠れよう!」
ダダダっと急いで走り、向こうの扉まで行く
扉を開けようとするも、開かなかった
「ハーマイオニー!こっちは何とかするからドアの方はお願い!」
「ええ!任せて!」
ヴィオラとハーマイオニーが何かやり取りをしている
そしてハーマイオニーは二人をどかし、杖を取りだした
『アロホモラ』
彼女が呪文を唱えると、扉がガチャっと開く音がした
「ヴィオラは?!」
ドアが開いたので彼女の方を見ると、ヴィオラも杖を構えていた
そして
『エイビス』
呪文を唱えていた
すると、杖から何かが出てきた
(暗くてよく見えない…)
その何かは、猫と戯れているようだ
「皆!こっちはもう大丈夫だから入って!」
ヴィオラがハリー達を押して、部屋の中に入る
急いで扉を閉めて鍵をかけた
ふうっと息を吐き、ロンがハーマイオニーに聞く
「アロホモラ?」
「基本呪文集第7章よ
ところで、ヴィオラはさっき何をしたの?」
「ああ、さっきの呪文はオリバンダーさんに教えてもらったものなの
杖から小鳥を数匹出すことの出来る魔法でね、まあ手品みたいなものだよ」
「だからミセスノリスの注意が小鳥達にそれたのね」
ハーマイオニーが感慨深く頷き、納得する
さすがはヴィオラだ
賢く、皆にも優しい
「誰かここにいたのか?」
「「(ビクッ)」」
話し込んでいると、フィルチの声が聞こえた
ミセスノリスを探しに来たのだろう
誰もいないことを確認すると、フィルチはミセスノリスに「おいで」と言い、去っていった
「行っちゃったね」
ヴィオラがそう言うと、ロンがまたふうっと息を吐いた
「閉まってると思ったんだな」
「閉まってたわ」
「これがいるからだ」
ハリーが異変に気づき、声を上げた
目の前には、頭が3つの犬のような大きな怪物
爪は鋭く、「ヴヴヴ」と唸ってこちらを警戒しているようだ
「「ああああああああああああ!!!」」
叫び声を上げると、それを皮切りに犬は襲いかかってくる