第8章 シーカーの誕生
すると、高飛車な少女の声がした
「下手くそなんてありえないわ、親譲りだもの」
ハーマイオニーだ
彼女は「ついてきて」と言い、三人を引き連れてどこかへ行こうとする
ハリー達は顔を見合わせ、大人しくついていく事にした
「ほらここ」
ハーマイオニーに案内されたのは、トロフィーの棚だった
ここではクィディッチの優秀な選手や、学校で何か偉業を成した生徒に対して送られる表彰状などが飾られる
ハーマイオニーが指さすところを見る
するとそこには
「うわぁ」
シーカー
ジェームズ・ポッターとあった
「なるほど、ハーマイオニーの親譲りってこういう事ね?」
「ええ、そうよ」
「ハリー、君のお父さんもシーカーだったんだね」
ロンの言う通り
僕の父さんも、ホグワーツのシーカーだったんだ
「変じゃないか?自分の事なのに、ハーマイオニーよりも知らないんだね、君」
「うん、そうなんだ……」
階段を登っていると、ロンが先程のことについて話す
確かに、ハリーは自分の事なのに自分の事を知らなかった
ホグワーツに来る前は、ダドリーやペチュニアに邪魔者扱いされていたため、本当の両親の事を知りたくても聞くことは出来なかった
だから自分は、他の人よりも自分を知らない
「うわぁ!」
「どうしたの!?」
ガガガっと階段が動き出した
彼らの乗っていた階段は本当の目的地よりも1階高い場所に移動してしまう
「階段は動くのよ、忘れたの?」
「落ち着いて移動すれば大丈夫だから、慌てないで」
ハーマイオニーとヴィオラが説明してくれるので、少しだけ落ち着いた
すると階段はピタッと動きを止めた
「こっちに行こう」
「階段の気が変わらないうちにね」
ハリーとロンの言う通り、二人はついてくる
そして階段を登りきった所で、また動き出した
そうして歩いていると、ある事に気が付いた
「ここにいるの……なんだかやばい気がしない?」
「ここは入っちゃいけないところよ、三階だもの、立ち入り禁止よ」
ハーマイオニーがそう言った
そうだ
ここは三階の右側だった
「行こう」
こんな所にいるのを知られては叱られるどころではない
早く出たいがため、三人を促した