第7章 ホグワーツでの日常は
「………………」
「ハリー・ポッターというだけで、彼はこのホグワーツで身を縮こませて過ごしています
友達も出来ず、馴染むことさえ出来なかったら、これから先、ハリーはずっとそうして生きていくことになるから
私はそれを何とかしたいんです」
そう言うと、ウッドが息を飲むのが分かった
まあ、こんな重い話をされればそうなるだろう
だが、彼女はそのまま話し続ける
「ハリーはすごく優しくて、普通の子と何も変わらないから、私は普通の日常を、プレゼントしてあげたいんです
だから彼がクィディッチチームのシーカーになれば、皆ハリーを知っていくことが出来ます
私は、それを邪魔したくないんです……」
そう言った
その思いは全て本当だ
栄光を浴びるのはハリーだけで十分だ
自分までそれを受けてしまったらハリーの存在はあまり大切なものにはならないから
ハリーには楽しくホグワーツを過ごして欲しい
「なるほどな……
ヴィオラ、お前はクィディッチは嫌いか?」
「え?嫌いじゃありません!むしろ大好きです!」
「はは、ならお前はチームに入れ、自分の好きなようにすればいい
それにな、ハリーがその事実を知った時、俺は悲しむと思うぞ?」
「…………」
「才能がある人が自分の代わりに諦めたなんて知ったら、罪悪感ってものが溢れてくる
それは、友達が出来ない方よりも苦しいんだ」
確かにそうだ
ウッドの言う通り、心優しいハリーは自責感に駆られるだろう
それはヴィオラも望まない
本当にウッドの言葉は的を得ている
「ヴィオラ、お前には才能がある、マクゴナガル先生がスカウトするなんてよっぽどなんだぞ?
それ程までにすごい選手になれるのに、誰かのためにあきらめるっていうのは、頑張っている奴らには辛い
それはそいつらへの冒涜って言うんだ
クィディッチが好きならやればいい
ハリーに普通の生活を送って欲しいならそうしてもらえるように頑張ればいい
俺はそう思う」
「…………なんだか、とても深いですね」
思わず、ふふっと笑ってしまった
ウッドがそんなに真面目な言葉を言うとは思わなかったのだ
「まあ、嫌だと言っても入らせるぞ?
せっかく良い選手が見つかったんだ、首輪を付けてでも無理矢理いれてやる」
「酷いですっ!」