第2章 不思議の国の麗乃

「お、おお神よ！私の願いを叶えてくださり」
「ちょっと待って！？そんなうやうやしくしないで！私神様って呼ばれてるだけであってそこまですごい力ないから！！」
「で、でも、私の受験合格のお願いを叶えてくれたじゃ」
「あれは君の力だよ、自分で頑張った結果だから、そこまでしなくて大丈夫だよ……ほんとに、いつもいつも敬われて気楽に過ごすこともままならないんだから、ちきしょうっ」
「お、お気の毒さまです……」


思わず膝まづいてしまったが止められてしまった
どうやらこの人にも悩みがあるようだ


(皆大変なんだね……)

麗乃はこの状況にそぐわない呑気なことを思って佇んでいたのであった

「それで、君が特別って話だけど」
「へ？ああ！」

神様に言われて思い出す
確か話の途中だったな
神様は話を進める

「まず、君は本当は死ぬはずじゃなかったんだ」
「え？」
「本当はあの男の子が死ぬはずだった、でも麗乃が守って彼は死ななかったんだ、代わりにあなたが死んでしまったけれど」
「……」
「これは、私も予想してなかったことなんだ、君は死という運命に抗う力を持ってる、だから男の子を救うことが出来た」
「じゃあ」
「そう、君は自分の力で子供を守ったんだよ」
「よ、かったぁ」


自分が誰かを救うことが出来た
そう思うと、すごく達成感があった

「でも…高校生になれなかった」

麗乃は悲しく小さく呟いた
その呟きは神様にも聞こえていたようで、

「っ…………」

とても悲しそうな顔をした

「さっきも言ったとおり、君は記憶を持って生まれ変わる事が出来る、自分の自我を持ったまま次を生きる事が出来るんだ」
「次を生きる？」
「そう、死ぬはずじゃなかったのに死なせてしまったのは私の責任でもある、ほんとなら命を戻してあげたいけど、もう死んでしまったからね」
「…………」
「だから、君が望むなら記憶を持ったまま好きな世界に生まれ変わらせてあげる、君の望んだ世界に、どんな場所でも生まれさせてあげる」
「どんな場所でもって……」
「これは私なりのお詫びだよ、君のお願いを叶えてあげられないから……」
「本当にどんな場所でも生まれさせてくれるんですか？」
「うん、もちろん、私を信じて」
「…………」

どこででも
どんな場所でも

それは、ひどく魅力的な話だった