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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第2章 不思議の国の麗乃




咄嗟に麗乃は飛び出す

有象無象をかき分けて、
男の子へと一直線に走る

「逃げて!!」

「え?」

そう叫ぶと少年はこちらを振り向いた
しかし、もうおそかった

「ッ!」

トラックが迫り、ぶつかってくる
その寸前、麗乃は男の子を抱きしめ、自分の背中が直接衝突するようにかばった

ピピィーーーーー!!

ドォーーン!!!



「おい!人が引かれたぞ!」

「女の子が引かれた!」

「あの人!トラックを運転しながら眠ってたんだわ!」



「翔太!!いやぁぁぁ!!」



声が聞こえる

何かに慌てて騒いでる声



(もう、うるさいなぁ、どうしたのかな?)


薄れゆく意識の中、麗乃はそれだけが頭にあった

(身体、動かない……それに、すごく眠いし)


瞼が段々重くなってくる
朦朧としてそれに抗う力はもう残っていない

(少しだけ、寝よっと)


そうして、彼女に永遠の眠りが訪れた
麗乃である自分は死んだ








「ヴィー」


ふと、誰かに名前を呼ばれた
でもそれは、麗乃の名前ではない

私じゃないのに
『私』は何故か後ろを振り向いた


「トム!どうしたの?」


トム?
それは誰?
トムなんて私は知らない
なのになんで、そう呼んでいるの?


「ヴィー、ほら、早く行かないと夕食に間に合わないよ、勉強熱心なのはいい事だけど」
「へ?わわ、もうそんな時間だったんだ、教えてくれてありがとう、トム、一緒に行こ!」
「それじゃ、本を片付けて行こう」
「うん!」
「ヴィーはまた呪文の本を読んでたの?」
「そうだよ、だって面白いじゃない!物を浮かせられたり美味しいお菓子が作れるんだから!」
「ふふ、ヴィーらしいね」
「あはは、そういえば、また教えて欲しいことあるんだけどいいかな?」
「うん、構わないよ、でもそれより急ごう?僕達のご飯が取られるかもだよ?」
「それは困る!走ろう!」
「はいはい」


その会話が懐かしいと感じた

あれ?
何が懐かしいの?
トムなんて知らないしヴィーも私じゃないのに、



なぜ、こんな気持ちになるの?







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