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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第2章 不思議の国の麗乃




桜の舞う青い空

変わらないいつもの道

潮井 麗乃は、そのなんてことない光景に胸を躍らせて明日から通学路となる道を歩いていた

「ん〜、明日からやっと高校生だぁ!」

一人、公園の前で伸びをしながら明日を期待した

明日は、麗乃の通う高校の入学式
記念すべき高校生デビューを果たす日だ

(やっとだぁ!今まで勉強頑張った甲斐があったなあ〜、おかげでちゃんと希望通りのところに行けたし、早く高校に行きたい!!)

空を仰ぐ
気分は最高潮で、とてもワクワクしていた


麗乃はずっと高校生に憧れていた
ドラマや漫画のような高校生活を夢見ていたのだ

いつも友達に囲まれて楽しくワイワイ騒いだり、好きな男の子と一緒にいるドキドキ感を味わってみたかった
泣いたり、怒ったり、喜んだり、
そんな経験が高校生になったらできると思っていた

そして今、通学路を散歩している

「ちゃんと道覚えないと」


忘れて迷子になったりしたらイヤだし、初日から遅刻はしたくない

(ふふ、どんな髪型で行こうかなぁ?)

胸が高鳴り、心臓が落ち着かなかった

「あ、ハリーポッターだ」

麗乃の視線の先にはハリーポッターファンが作ったらしき店があった
そこには、沢山のハリーポッターグッズが売られている

(私、謎のプリンスまでしか見てないや、確か最後はニワトリの杖がハリーの物になってたんだっけ?)

一応言うと、ニワトリの杖ではなく「ニワトコの杖」だ

子供の頃は大好きだった
結末は何となく知っているが、その合間の話は見ていない

(まあいいか)

そんなことを考えていると、

「きゃぁぁぁ!!」

「ん?」


なんだろう
女の人の叫び声?

麗乃はその声の方向に近づいた
すると人だかりができており、何やら騒ぎになっていた

「え!トラックが暴走してる!」


向こうから、トラックがとてつもないスピードで走ってきていた
そして道路の真ん中には男の子が蝶を追いかけていた

母親らしき人が助けに行こうとするが、野次馬達が立ち塞がってなかなか飛び出せないようだった

「あんなの、子供が引かれちゃうよ!なんで誰も助けないの?!」

そういうも、助ける気配は誰にもない

車が音を立てながら走ってくる
トラックはもう、すぐそこまで迫ろうとしている

(っ危ない!!)




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