第5章 ダイアゴン横丁の出会い
女の子は申し訳なさそうにセドリックの掛けたジャケットを見た
それに彼は微笑んで答える
「気にしないで、風邪でも引いたら大変だろ?それは持っててくれて構わないから」
「いえいえ!ホグワーツの生徒さんなんでしょう?だったら洗ってお返ししますよ!」
「…………」
至って真剣な顔でそう言われ、思わず黙ってしまった
しばらく考えて、セドリックは笑って話した
「それじゃあ、そうしてくれ、僕はセドリック・ディゴリーって言うんだ、ハッフルパフっていう組の生徒だから、返せる時に返してくれたらいいよ、それと、敬語はやめてくれると嬉しいかな」
そう言うと、女の子は嬉しそうに笑った
「ええ!必ず返しに行くね、約束よ!セドリック!!」
少女は満面の笑みでセドリックに言った
その笑顔が、セドリックには眩しく見えた
「………………」
その表情に見とれていると、彼女は何かを思い出したかのように「あ!」と言い、困ったように笑った
「ごめんなさい、もうお父さん達のところに戻らないといけないの」
「ああ、それじゃあまた今度だね」
「うん、ありがとうセドリック、またホグワーツでー!」
少女は手を振りながら、どこかへと行ってしまった
(あ、そういえば名前を聞いてないな)
セドリックは一人小さなため息をついた
「何をため息をついてるんだ?」
「わあ!父さん!」
後ろからいきなり声をかけられた
振り返ると自分の父、エイモス・ディゴリーがいた
「こんなに濡れて、それにジャケットはどうした?女の子が走っていくのが見えたが……」
「ああ、その子がびしょ濡れだったから貸したんだよ、ホグワーツの新入生だから後で返ってくるよ」
「ほう、女の子にか、やはりお前は優しい子だなぁ」
「普通のことだろ?」
「…………」
「どうしたの?」
「いや、さっきのピンクブラウンの髪の女の子が気になってな」
「?あの子はただの新入生だよ?」
「ああ、それは知っている、だが、確かマリエレンダの子女だったんじゃないかと思ってなぁ」
「え、マリエレンダの?」
「何度かダニーが写真を見せてきたことがあるからな」
「そう、だったのか」