第5章 ダイアゴン横丁の出会い
その姿が可愛らしくて、自分が入学してきた時のことを思い出した
思わず笑ってしまう
「あはは、それじゃあ水瓶の前に来て」
そう促すと、大人しく彼女は着いてきてくれた
水瓶は低い時計塔のオブジェの上にのせられており、呪文を唱えることで水がホースから出るように溢れてくるという仕組みだった
「さて、あの水瓶から水を出すわけだけど……なんだか変わった杖だね」
彼女の持つ杖は普通のものとは違い、わずかに黒光りしていた
「ああ、オリバンダーさんが隕石で創った貴重な杖だと言ってました、「きっと君なら使えるだろう」って」
「隕石で?それはとてもすごいね、
たぶん君なら今から教える呪文も一発でできるんじゃないかな」
「そうだといいんですけど……杖で魔法を使うのは初めてですから」
「ふふ、それじゃあ見ててね」
セドリックは喉の調子を整え、杖を構える
そして杖を下から上へと振り、
『アグアメンティ』
と唱えた
すると水瓶から勢いよく水が発射される
プシャアーー
「おお〜!すごいすごい!!」
ピンクブラウンの女の子はその光景を見て目を輝かせて褒めてくれた
「今のが呪文だよ、杖は下から上に勢いよく振れば振るほど水がいっぱい出てくるから」
それを聞いて、女の子は実際にやって練習してみた
「こうですか?」
「そうそう、そうして後は姿勢を伸ばすだけ、やってごらん」
セドリックがそう言うと、女の子は「んっんー」と喉を鳴らし、前へ一歩踏みでる
そうして、杖を構え
『アグアメンティ!!』
ブッシャーーー!!
勢いよく杖を振り上げ、大きく呪文を唱えたので大量の水が瓶から飛び出した
バッシャーン!!
すぐにその水はミスト状になってスプリンクラーのようにその場にいた全員に降りかかった
特に呪文を唱えた彼女はびしょびしょに濡れてしまっている
「あーう、やっちゃった……」
(新一年生でここまでの威力があるなんて、この子は一体……)
とりあえずセドリックは女の子に駆け寄り自身の着ていたジャケットを彼女のニットの服の上に着せた
「だ、大丈夫!?」
「は、はい!すいません!!」
「い、いや大丈夫だよ、もう少し勢いを緩めればちゃんと出せるようになるから」
「あ、ありがとうございます、それに、このジャケット……」