第5章 ダイアゴン横丁の出会い
ヴィオラの母親であるエルラはとても美しく、学生時代はとても人気があったらしい
でも、ダニーがひたすら猛烈にアプローチして、結果マリエレンダ家に嫁いだのだとか
男達の激しかったエルラ争奪戦はダニーがエルラの心を射止めた形で幕を閉じたのだ
ここで豆知識
エルラの旧姓は「クリーメル」といい、純血の家系だ
(お母さんは今でも目を引くほど美人だから、お父さんも気が気じゃないだろうね……)
我が父に同情した
「それでオリバンダーさん、僕の娘の杖を選んでほしいのです」
「おお!そうでしたな、少々お待ちを」
ダニーの言葉でオリバンダーは最初の目的を思い出し、杖が閉まってある奥へと行ってしまった
「すごい人だね……」
思わずぽつりとつぶやいてしまう
それをダニーとエルラはしっかりと聞いており、クスクスと微笑んだ
「オリバンダーさんは昔からあんな人だからね」
「そうね、でも、杖についての知識は一流だから安心なさい、きっとヴィオラにピッタリの杖を選んでくれるわ」
「……二人がそう言うなら大丈夫だね!」
父と母の言葉に安心し、「これからどんな杖を使うことになるのか」という事に期待をふくらませた
しばらくするとオリバンダーが奥から戻ってきた
「お待たせしました、こちらをどうぞMsマリエレンダ」
「これは?」
「そちらは『ケルピー』と呼ばれる海の怪物の骨で作られた杖でしてね、どれ、振ってごらんに」
「えい」
ヒュン
杖を振ると、オリバンダーの後ろにある書類の束をバサバサとそこら中に散らばらせてしまった
その場にいた全員が思わずビクッと驚く
「わわ!ご、ごめんなさい!!」
「ああ、お気になさらず、杖があっていないのでしょう、えー、ではこちらを持ってみて下さい」
申し訳ない気持ちでいっぱいだがオリバンダーが促すのでヴィオラは大人しく言うことを聞いた
杖を手に持つ
「それは踊り草と呼ばれる植物の草を煎じてカエデの木に染み込ませたものです」
説明を受け杖を振る
今度は少し小振りに振った
すると
パァーン!
「ぎゃあああ!!」
なんと、
オリバンダーが襟元にかけていた眼鏡が粉々に割れてしまったではないか