第28章 出会いは突然に
クィレルがまた少しだけ扉を開けてくれたので、中の様子を覗くことが出来た
(ん?)
部屋を見回す
目に止まったのは、机の上にある瓶だった
「クィレル先生、あれは?」
クィレルにそう聞く
が、彼は悲しそうな顔をするだけで答えない
「ズビッ
おいクィリナス?何しちょるんだ?」
奥から、ハグリッドの声がした
泣いた時特有の鼻声がする
鼻水もすすっている
「…………」
放っては置けなかったので中に入った
「あぁ、ヴィオラか……」
ハグリッドはヴィオラを見てそう言った
ハグリッドの目には何度も泣いた跡がある
目も腫れていて、夜も泣き続けたのだと分かった
どこか虚ろで悲しそう
「この前からあの調子だ
何杯も酒を飲み、君とバックビークに謝罪の言葉を並べていた
このままでは部屋中酒臭さが漂って、ハグリッドも廃人になってしまう
何とかしてくれないか?」
瓶の正体はお酒だったようだ
クィレルの顔は本当に困っているものだった
お酒にも泣きじゃくるハグリッドにも頭を悩ませているのだろう
ハグリッドに近寄る
「ハグリッド、ハグリッド」
名前を呼ぶ
だが、反応がない
彼はただお酒を飲みまくるだけだった
酒を飲みながら言う
「笑えるだろ?
初日からクビになる教師なんざ俺がホグワーツ史上初めてだろうな」
「そんな……まだ…」
「決まったわけじゃない、そう言いたいんじゃろ
だがな、ルシウス・マルフォイは魔法省にいくつもの繋がりを持っとる
俺をクビにする事なんざあいつにとっては虫を片付けるのと同じだ」
「でも、ハグリッドが悪かったんじゃないよ
それに私の怪我も、もう何ともないしね」
そう言って、ギプスの取れた腕を軽々と動かしてみせる
だが逆効果だったようで
「もう良いんだ、あれは俺が悪かった
初日から気合い入れすぎてたんだ……
そのせいでマルフォイにも…ヴィオラにも怪我させちまった」
と言ってしまう
「「………………」」
クィレルと顔を見合わせる
2人とも困った顔だ
何を言っても悲しませてしまいそうで、でもこのままにも出来ないので、2人で言った