第27章 リーマス・ルーピン
ルーピン先生は何故か目を見開いていた
「えっと、君の名前は?」
「マリエレンダです、先生」
「あぁ、そうか
ではファーストネームは?」
「? ヴィオラ、です」
「ヴィオラ…か」
「???」
どこか様子がおかしい
何かを思い出すかのように何度もヴィオラの名前を呼ぶ
これはルーピン先生自身が付けてくれた名前なのだが
(私の事覚えてるからなのかな?)
一つの答えに辿り着くがやはり分からない
ずっと首を傾げていると、ルーピン先生が気付き、慌てて言う
「あぁ、済まないね、なんでもないんだ」
笑ってはいるがどこかぎこちない
その様子に?しか浮かばなかった
ルーピン先生が言う
「えー、ではヴィオラ、君に質問しよう
ボガートはどんな姿をしているかな?」
そう言われたので、大人しく答える
「誰も知りません
形態模写妖怪と言われ、相手の一番怖いものに姿を変えるので、その姿を見た者は…」
「そう、誰もいない、だからとても怖い
その通りだ、ありがとうヴィオラ」
「いえ」
優しそうに微笑む
憧れている人から褒められるのはやはりむず痒い
顔が少し赤らむのを感じた
「幸いな事に、ボガートを退散させる簡単な呪文がある
杖なしでいいから言ってみよう『リディクラス(馬鹿馬鹿しい)』」
『『リディクラス』』
全員がそう言う
するとまたルーピン先生は微笑み
「いいね、次は大きな声ではっきりとこんな風に『リディクラス!』」
『『リディクラス!』』
「とてもいい
ここまでは簡単だけどね、呪文だけでは十分じゃないんだよ
ボガートをやっつけるのは、笑いだ
ボガートをひどく滑稽な姿に変える必要がある」
それからルーピン先生は一呼吸して、タンスに歩み寄る
側面部分に手をかけて言った
「ボガートが一人ぼっちの時にどんな姿をしているかは誰も知らない
しかし、私達が外に出してやるとたちまちそれぞれが一番怖いと思う姿に変える
つまり、初めから私達の方が有利な立場にあるんだ
ハリー、どうしてか分かるかな?」
聞かれたハリーがぎこちなく答える
「えっと、僕達の方が人数が多いから、何に変身したらいいか分からない……?」
「その通り」