第23章 指輪の力
もしそうなら、トムが手を出さないはずがない
この石にその力があると知っていればだが
『その石に三角目の模様があるだろ?』
そう言われじっくりと眺める
すると言われた通り、その模様を見つけた
今まで思っていたが、これは何なんだろうか
ルブリスが言ってくれる
『それが死の秘宝の模様だ
丸いのが「石」、一本線が「杖」三角が「マント」
この全てを手に入れた時、「死」を制する事ができると言われている』
「死を制する?」
『死にも負けないようになるんだ、殺されそうになってもその秘宝の全てを手にしていたら、必ず生き残る』
ルブリスは静かにそう言う
ニワトコの杖や蘇りの石は知っていたが、これがその石だとは知らなかった
前世で自分がこれを知っていたということは、やはり「死の秘宝」は後に大切になってくるアイテムなのだ
しかも死を制するとは
「…………」
お父さんとお母さんを生き返らせることができない
会話出来るらしいが、今話しても、自分が自殺しないとは思えなかった
そこでひとつ気が付く
「ルブリス、どうしてあなたはこの石に蘇らせる力がないと分かったんですか?」
『あ?』
「死から石を貰った本人でさえ、気付かなかったんでしょう?
なのになんで、あなたには分かったんです?」
『ははは、お前なかなか賢いな』
本人も石の効果が分からなかったのに、どうして彼には分かったのか
死から賞賛されたのなら分からないはずはない
なんせ「死」なのだ
もしかしたら死があえて教えなかったという可能性もあるが
しかしそうだとしても、その嘘を見破れなかったのにルブリスに分かるのか?
『口ぶりから察するに、お前は誰か生き返らせたい奴がいるんだろう?
今まで会いたいと願っていたはずだが、会えない
それに見えないはずの俺が見えた
その石に蘇りの力があってもそんな事は出来ない
つまりそれは「蘇りの石」であり、「蘇りの石」ではない』
そうルブリスは告げた
「……」
言葉が出なかった
彼はこの短時間でそれだけの情報を集め、その結論に導いたという
つまり彼は異常な程に頭がいいのだ
異常な程賢く、石の謎を見破ってしまう