第23章 指輪の力
それからたくさんの人に挨拶をして行った
時にはクィディッチ選手に
時には有名雑誌の記者に
純血一族マルフォイ家のパーティーだけあって、やはり高貴な方々が多い
それになんといってもマルフォイ家の子息と一緒にいるので質問攻めにあった
「お嬢さんはご子息の婚約者なのかしら?」
「やはり純血婚を?」
「失礼レディ、一緒にシャンパンを飲み交わしたいのですが」
と、権力と名声を手にしようとする人達が多い
マルフォイ家の婚約者ならば取り入って損は無い
マリエレンダの娘なら親交を深めて富を手にすることもできる
こんな人達ばかりで、気疲れしていくのを感じた
隣のドラコを見ると、彼もあまり良い顔はしていなかった
「…………」
ただ、唇を結ぶしかなかった
「ふぅ」
(ここならゆっくり休める…)
コツコツ
ストン
館のテラスの椅子に座る
あまりにも疲れたので人目を避けるために来たのだ
ドラコは心配してくれていたが、「大丈夫」だと言って無理矢理会場から離れた
「ひぃ〜、いたた…」
少しかがんでパンプスを脱ぐ
足首を見ると、赤くなって擦り傷が出来ていた
「慣れない靴は履くものじゃないわ……
これ以上は絶対に足が引きちぎれちゃう」
足を休める
色んな人に誘われて、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしたので悲鳴をあげていたのだろう
おかげでヒリヒリして鈍い痛みがある
(ドラコもあんな風になっちゃうのかな……)
ドラコも権力に溺れるようになってしまうのか
今日あの場にいた人間達のように、心が冷えきってしまうのだろうか
「……それはやだな」
心から、そう思った
心から、彼が彼らしくいられるように願った
家なんて関係なく、マグルを見下してても構わないから
ヴォルデモートに縛られないように、祈った
「はぁ……そうならないように上手くやらなきゃ」
とにかく、自分に出来る事をしよう
彼が苦しむのは防がなければ
ザァー
「わわっ」
そんな事を考えていると、強い風が吹く
カーテンが揺れる
髪がなびく
木々が音を立てて揺れ動く