第23章 指輪の力
笑顔で褒めてくれるナルシッサ
その表情はルシウスとは違い、素直にヴィオラを歓迎しているものだった
ルシウスはヴィオラを鑑定するかのように見回してくる
「確かにナルシッサの言う通りだ
綺麗に着飾ったねMsマリエレンダ、まるで宝石のような美しさだ」
と言われた
ルシウスのその視線は嫌いだ
自分は物じゃないのに、価値を見るようなその目
息子のドラコとこのパーティーの主催者であるルシウスと話しているので、周りから好奇の視線が送られるのを感じる
それがとても、居心地が悪かった
「今夜はゆっくりと楽しめばいいわ、夜会はまだまだ始まったばかりよ
ドラコ、ちゃんとエスコートなさいね」
「分かっています母上」
ナルシッサの言葉により、お辞儀をしてその場を離れる
助かった
やっと気を抜くことができた
「パーティーってこんなに緊張するものなんだね」
ぽつりと呟く
その呟きはドラコにも聞こえていたようで
「君はこういうのに出たことが無いのか?」
と聞かれた
その質問に答える
「ん〜、出た事はあるけどここまで大きいのは初めて
マルフォイ一族に比べたらそこまで偉い資産家でもないからね
本当にすごいよ、ドラコのお母さんもお父さんも」
心からそう思った
パーティーと言っても小さなものだけだ
うちは、代々一族だけでパーティーを主催する
だからここまでのお客さんは来ない
それに、なかなか外界と関わろうとしないのだ
ヴィオラの家族は例外だが、親戚は外交をあまりしない
(ちょっぴり苦手なんだよね〜)
「父上は誇り高いからな、僕も自慢に思ってる」
ドラコはそう言った
それに横を見ると、ドラコは誇らしそうにしていた
遠くで仕事仲間と会話しているルシウスとナルシッサを見て、本当に自慢に思っている顔をしていた
その姿がなんだか
「…ふふ」
「なんだ?」
「ううん、ドラコ坊っちゃまにも可愛い一面があったんだなって思って」
「〜っ」
「ふふふ」
微笑ましく思えた
恥ずかしがっていても否定しない
彼は家族が大事なのだ
いつもハリーをいじめているドラコ・マルフォイとは似ても似つかない
今度ハリーに教えてあげよう