第23章 指輪の力
「「はぁ……」」
お互いにため息をつく
普通ならこの状況は緊張したりするものだろうが、この時ばかりは気分が沈んでいた
(どうしよう…会話会話…)
「ヴィオラ」
「へ?」
何を話そうか考え込んでいると、ドラコが話し出した
驚いて変な声を出してしまう
しかし、ドラコは気にせず続けた
「その、父上や母上は君と僕をくっつけようとしてくるが、僕は正直、君を異性として見ることはできないんだ…」
急にそんな事を言われてしまった
別に何もおかしな事は言われていないのだが
なんだろう
この何とも言えない気持ちは
告白していないのに勝手に振られたというあの気分になる
(いや、私も同じ気持ちだから構わないんだけど…)
「だからその、申し訳ないが…君がもし僕をそういう目で見てくるなら…」
「いやいや!ちょっと待って!」
「?」
「あの、私もドラコと同じだよ?ドラコの事、仲の良い友達としか思えない……」
「あぁ、そうか」
ドラコの勘違いに弁解すると、何か吹っ切れたような顔になった
「「…………」」
二人の間に沈黙が走る
しばらくして、ヴィオラが声を発した
「ドラコ、親がなんと言おうと私達は私達だよ
私はドラコの事大事な友達だと思ってるし、ドラコも同じなんでしょ?
だったら、これからもそういう関係でいよう?」
「あぁ、そうだな…
父上の決定に逆らうつもりはないけど、僕もそうしたいとは思う」
両者の意見が揃った
最初からそう言えば良かったのだ
気まずくなってたのが面白くなってきて、笑えてきてしまった
「これからも友達でいよう、ヴィオラ」
「うん、私達はずっと友達だからね」
固く握手を交わした
なんだか、ドラコとこれまで以上に仲良くなれた気がする
「坊っちゃま、お嬢様、もうすぐ着きますよ」
「あぁ、分かった」
馬車に揺られていると、御者の声がした
もうすぐマルフォイ家の館らしい
はっとして思い出す
「どうしようっ、私の格好変じゃない?」
立ち上がって自分の格好をドラコに見せる
今のヴィオラは、パーティー用の衣装を着ていた